溝畑泰秀容疑者を乗せて、立てこもり現場から病院に向かう救急車=31日午後6時51分、和歌山市塩屋1丁目、伊藤進之介撮影
未明の立てこもりから17時間余り。和歌山市内で拳銃2丁を持った男と警察が向き合う手詰まりの状態は31日夕、急転直下で容疑者逮捕に至った。しかし、無謀な籠城(ろうじょう)を続けた容疑者は、自ら腹を撃って死亡した。銃への不安と、やりきれなさが残る結末となった。
死亡の溝畑容疑者、捜査員に「親をばかにするな」
31日午後6時40分ごろ、溝畑泰秀容疑者(45)が立てこもっていたアパート付近から、銃声と男性の叫び声が聞こえ、警察官らが次々と現場に向かう。「突入か」。アパートへ数十台のカメラを向けていた報道陣から、声が上がった。
アパートのそばに住む看護師の男性(27)は「パーン」という音で外を見た。うめき声が聞こえ、路上に警察官が集まって、「しっかりしろ」と声をかけていたという。その後、救急車がやってきた。
和歌山県警はこの日夜の会見で、溝畑容疑者が「覚悟を決めている」といった内容を口にしていたことを明らかにした。最後は捜査員の数メートル先で、自分の腹を撃ったという。
県警は立てこもりが長期化し、溝畑容疑者の体力が落ちてきているとみていた。警察側は説得を続け、投降させる道を選んだ。県警幹部は「けが人は出したくない。人質もいないし、長期戦を覚悟している」。