高橋克也被告
1995年の地下鉄サリン事件など、オウム真理教が起こした五つの事件に関与したとして殺人などの罪に問われた元信徒・高橋克也被告(58)の控訴審判決が7日、東京高裁であった。栃木力裁判長は、高橋被告を無期懲役とした昨年4月の一審・東京地裁判決を支持し、被告の控訴を棄却した。
控訴審で改めて無罪主張 オウム真理教元信徒・高橋被告
一審判決によると、地下鉄の車内に猛毒のサリンがまかれ、13人が死亡し6千人以上が負傷した地下鉄サリン事件で、被告は実行犯の運転手役として関わった。ほかに、猛毒の化学剤「VX」を使った2件の殺傷事件や公証役場事務長の拉致事件にもかかわった。
控訴審で弁護側は、教団元代表・松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(61)らとの共謀を否定。「人を死亡させる危険性が高い毒物をまくとは認識していなかった」として、地下鉄サリン事件などの一部で無罪を主張した。松本死刑囚らの証人尋問を求めたが、高裁は却下。被告人質問も行われず、控訴審は7月に1回開かれただけで結審していた。
一連のオウム真理教による事件の裁判では188人が有罪となり、うち13人の死刑が確定し2011年にいったん終結した。だが高橋被告ら特別手配犯3人が12年に逮捕され、14年から裁判が再開された。公証役場事務長拉致事件などに関与した平田信受刑者(51)は懲役9年が確定した。菊地直子被告(44)は、殺人未遂幇助(ほうじょ)などに問われたが昨年11月の二審・東京高裁で無罪となり、検察側が上告中。(塩入彩)