肥後銀行(熊本市)の行員だった男性(当時40)の過労自殺をめぐり、過労死を防ぐ体制づくりを怠り銀行に損害を与えたとして、男性の妻(46)が7日、当時の取締役11人を相手取り、銀行に約2億6千万円を賠償するよう求める株主代表訴訟を熊本地裁に起こした。
過労死の責任、役員一人ひとりに 遺族が株主代表訴訟へ
男性は2012年10月に本店から飛び降りて死亡した。妻ら遺族は同行を相手取り、損害賠償などを求め熊本地裁に提訴。14年10月の判決は、銀行が注意義務を怠り行き過ぎた長時間労働をさせたなどと認め、同行は慰謝料など1億2886万円を支払った。
同行株主である妻は訴状で、当時の会長や頭取ら取締役は行員の労働時間を把握する必要があり、心身の健康に関わる長時間労働であれば直ちに是正すべきだったと指摘。会長らは労働時間管理の体制づくりを怠ったと主張している。
妻は7日に記者会見し、損害賠償を求めた訴訟で銀行側の証人尋問がなかったことに触れ、「一緒に働いていた人の話を聞きたい。話をしてもらうにはこの方法しかないと思った」と説明。「同じ思いをする人がいなくなるならうれしい」と訴えた。
代理人の松丸正弁護士によると…