時折、雨が強く降るなか、足早に駅へ向かう人たち=20日午後、横浜市中区、恵原弘太郎撮影
20日に上陸した台風16号の影響で西日本から東日本の広い範囲で大雨が降り、被害は各地に広がった。
記録的な大雨となった九州南部。宮崎県では29棟が床上浸水、73棟が床下浸水した。県によると、四つの老人施設も浸水した。日向市富高地区では地区全体が浸水し、市消防本部が計6人をボートで救助した。都城市や延岡市などでも車が冠水し、男女5人が救助された。鹿児島県垂水市では国道220号の橋(幅約8メートル、長さ約12メートル)が流された。大分市では住宅裏の斜面が崩れて住宅2棟の1階部分が壊れた。
兵庫県宝塚市では6歳の男児が川に流されたと通報があり、消防署員らが捜索した。愛知県清須市では線路下をくぐる県道が冠水し、水没した車から女性(69)が意識不明で見つかった。
東日本にも影響は広がった。長野県内では土砂災害の恐れがあるとして長野市や伊那市、駒ケ根市、飯田市で避難勧告が相次いだ。大町市平の高瀬川支流の湯俣川では午前8時過ぎ、渓流釣りに来ていた愛知県江南市の男性(66)が増水した川を渡った際に流され、行方不明になった。
神奈川県内では3市で避難準備情報が出た。伊勢原市は全世帯4万3536世帯10万1774人に、藤沢市は市民の約半数にあたる9万2308世帯21万9611人に発令した。横浜市も中区や金沢区など12区で計95カ所、2890世帯6302人に発令した。
交通も乱れた。JR東日本は20日午後から終日、長野県内と東京、名古屋をそれぞれ結ぶ特急計22本の運転を見合わせた。東海道新幹線も大雨の影響で上下線計33本が最大52分遅れ、約3万1千人に影響した。
空の便も欠航が相次いだ。日本航空は午後8時現在、九州・四国の発着便を中心に58便を、全日空は午後7時半時点で76便の欠航を決め、計約1万2340人に影響した。