門扉を閉める警備員=4日午後10時4分、大阪市天王寺区、辻村周次郎撮影
大阪市は4日、天王寺公園(大阪市天王寺区)で終日開放していた通路の夜間閉鎖を始めた。昨秋、園内の一角をリニューアルして公園の人気が高まり、さらに利用しやすくする改修を始めた影響という。一方、通路で夜を過ごすホームレスの退去につながると、支援者から批判の声も出ている。
天王寺公園内には、天王寺動物園や市立美術館などがある。2015年10月にリニューアルされ、カフェやレストランがある「てんしば」には1年間で約420万人が来園。1年前の約4倍に増えた。
人気の高まりを受け、市は来園者が園内を歩きやすくしようと、今月から美術館エリアとてんしばを分断する通路わきの長さ約370メートルの柵(高さ約2・5メートル)などの撤去を始めた。
しかし夜の園内は暗く、市は、柵を撤去した後も夜間に通路に出入りできるようにしておくと防犯上の問題があると判断。通路の3カ所の出入り口にセンサー付きの門扉を設置し、4日から当面、午後10時~午前7時に門扉を閉める。
一方、今年夏ごろまで夜間、公園西側の動物園内を横切る通路入り口付近などに20~30人のホームレスの人々がいた。4日夜も数人が集まったが、待機していた市職員らが「今日から閉まるんです」と声をかけると、「そうなんや」などと言って去って行った。午後10時ごろに門扉は閉められた。市によると、大きなトラブルはなかったという。
公園近くで理容店を営む男性(76)は「ホームレスの人だって、ここにいる事情があるのでは。市は、彼らに次にどこへ行けと言うんでしょう」。ホームレス支援団体代表の生田武志さんは「周辺にあべのハルカスなどができて観光客も増え、ホームレス排除の流れが進んでいる気がする。追い出しても場所が変わるだけで、根本的な解決にはつながらない」と話す。(今野忍、辻村周次郎)