バンコクのプラティナムファッションモールで16日、黒い服を買い求める女性客ら=五十嵐誠撮影
タイで黒い服の需要が急激に高まっている。プミポン国王の死去後、国民が哀悼の意を示そうと身につけ始めたためだ。品薄になり、小売店が不当に価格をつり上げないよう政府が声明を出すほどだが、一方で黒服でない人が非難される空気も出始めている。
衣料品店が集まるバンコクのプラティナムファッションモールでは16日、女性客らが好みの黒い服を探していた。同僚と来ていた国立病院勤務のアリサさん(23)は「黒色は1着しか持っていなかった」。
政府は、国王死去の翌日の14日から政府機関は1年間喪に服すとし、公務員に期間中の黒いスーツなどの着用を指示。一般国民には、30日間は娯楽を自粛し、黒い服を着るよう呼びかけた。従業員に黒服の着用を命じる企業もある。
衣料品の卸売り・小売店が入るボーベータワー。アチャリヤさん(36)の店でも売れるのは黒色ばかりだ。ブラウスなど1千着を15日に仕入れたが、「値が上がっている」と言う。
バンコクで外出する人は、17日も黒い服の市民が大半だったが、フェイスブックなどでは黒い服を着ない人の写真を撮って批判する投稿も出ている。政府は17日、新しい服を買うのが困難な低所得者層約800万人を対象に黒いTシャツを無料配布すると決めた。16日には「経済的な理由で新しい服を買えず、黒を毎日は着られない人もいる」として国民に理解を求めていた。
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