7月の参院選の「一票の格差」が最大で3・08倍になったことは憲法違反だとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決で、仙台高裁秋田支部(山田和則裁判長)は19日、今回の参院選について「違憲状態」と判断した。「合区」の導入で格差が縮小されたことなどから、選挙無効の請求は棄却した。
今夏の参院選については、二つの弁護士グループが全国の14高裁・支部で訴訟を起こしており、これまで「違憲状態」と「合憲」で判断が分かれている。
秋田高裁は、今回の参院選について「都道府県を各選挙区の単位とする選挙制度の仕組みを基本的に維持した」と指摘し、「違憲状態」だったと結論づけた。一方、合区の導入などで「抜本的な見直しに着手し、格差を縮小させた」などと述べ、選挙の無効までは認めなかった。
最高裁は10年(最大格差5・00倍)と13年(同4・77倍)の参院選を違憲の一歩手前となる「違憲状態」と判断。13年の判決では「現行の仕組みを維持しながら投票価値の平等を実現することは、著しく困難」と指摘し、都道府県を選挙区として定数設定する制度の見直しを求めた。
これを受けて徳島と高知、鳥取と島根を一つの選挙区にする合区の導入などで定数を「10増10減」とする改正公職選挙法が昨年成立し、格差は縮小した。