医療機関ごとに持っている患者個人の治療歴や過去の処方薬といった情報を全国の施設で共有する仕組みづくりを厚生労働省が始める。本人の同意を前提に、全国どこでも健康や疾病の状態にあわせた保健医療を受けられる。2020年度の運用開始をめざす。
厚労省の有識者懇談会が19日に提言したシステム「PeOPLe(ピープル)」として整備する考えだ。対象者に医療用の個人番号を割り振り、全国の医療機関や介護施設などの情報をつなぐ。患者の健康状態や過去に受けた治療や処方薬、アレルギーや副作用などの情報を医師らが活用する。
実現すれば、救急搬送時や災害時に普段と違う医療機関を受診する場合や、発作などで本人が意識を失っている場合でも、最適な治療が受けられるようになるという。個人情報保護の観点から、システムに参加するかどうかは一人ひとりの同意を原則とする。患者本人も自らの医療情報にアクセスできるようにする。
蓄積したデータを匿名化して行政や大学、企業などが研究に活用することも想定。保健医療の質の向上や疾患の原因究明、創薬などにもつなげるという。(生田大介)