日本勢初のアメリカ杯獲得を狙うソフトバンク・チーム・ジャパン。レース中のヨットは、浮いているように見える(C)Matt Knighton/SoftBank Team Japan
空飛ぶ船が福岡に――。165年の歴史を誇るヨットレース・アメリカ杯の予選のワールドシリーズ(WS)最終第9戦が19日から、アジアで初めて福岡市で開催される。日本勢として15年ぶりに参戦した「ソフトバンク・チーム・ジャパン」の調子も上向きだ。
特集:ヨットアメリカズカップ
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スタートの合図とともに全長13・45メートル、高さ21・5メートルのヨットの船体が、風の力だけで浮く。まるで飛んでいるような姿で、時速60キロ以上で進んでいく。部品の多くはカーボン製で、重さ1320キログラムは乗用車より軽い。
「ヨットのスピード感を見て欲しい」。日本チームの早福和彦総監督(50)は「海のF1」とも称されるレースの魅力をこう語る。
日本勢はアメリカ杯に「ニッポン・チャレンジ」の名前で1992、95、2000年の3度出場した。早福総監督は95、00年の両大会のメンバーだった。
だが、不景気のあおりでスポンサー集めが難航。ヨットの開発やクルーの獲得競争の激化もあり、日本の挑戦は00年を最後に途絶えた。早福総監督も、海外チームからのアメリカ杯参戦を余儀なくされた。「海洋国の日本からの参戦がなくなり、残念だった」
近年、高騰するコストを削る動きが出てきた。ヨットを小型化し、今回から規格も統一された。資金力ではなく、ヨットを操る技術力が大きく問われることになった。15年4月、ソフトバンクがスポンサーになり、日本勢15年ぶりのアメリカ杯挑戦が決まった。
ヨットに乗るのは、早福総監督…