体力検定で「短距離疾走」をする隊員=東京都練馬区、小玉重隆撮影
陸上自衛隊は今年度から、隊員が毎年受ける体力検定6種目のうち3種目を、実戦を想定した内容に変えた。「安全保障環境が厳しくなり、日本を防衛する際の戦闘行動に直結した検定が必要」というのが理由だ。約14万人の全隊員が対象で、迷彩服を着て臨む。
新しい3種目は、約50メートルをダッシュする「短距離疾走」、約1メートルの壕(ごう)を幅跳びで越える「超壕(ちょうごう)」、重さ約20キロのタンクを運ぶ「重量物の卸下(しゃか)、運搬、積載」。鉄帽と迷彩服を身につけ、小銃を抱えて受検する。陸自練馬駐屯地(練馬区)で受けた田島寿弥(かずや)・陸士長(24)は「実戦ではこういった装具を身につける。身が引き締まる」と話した。
3種目は「戦技に直結する体力検定」と名付けられた。検定にはこのほか、従来通りTシャツなどの「体育服装」で臨む腕立て伏せ、腹筋、3千メートル走の3種目からなる「共通体力検定」がある。「戦技」の3種目が新設され、ソフトボール投げ、懸垂、走り幅跳びの3種目はなくなった。
新種目について、陸上幕僚監部教育訓練計画課の担当者は「体力を鍛えるだけでなく、頭に戦闘のイメージを植え付け、実戦で戦える隊員育成が必要。同様のテストは米軍や豪軍も実施している」と話す。一方で「あくまでも日本を防衛する場面を想定したもので、安全保障法制とは関係ない」と説明している。(福井悠介)