見送りの人たちが手を振る中、出港する調査捕鯨船=18日午前9時38分、山口県下関市彦島本村町3丁目、小宮路勝撮影
日本の調査捕鯨船2隻が18日、南極海に向けて、山口県下関市の下関漁港を出港した。10月にスロベニアで開かれた国際捕鯨委員会(IWC)総会で、反捕鯨国が調査捕鯨の許可を厳しくするように求めた提案が賛成多数で採択されたばかり。日本の捕鯨への国際的な風当たりが厳しさを増す中での船出となった。
出港したのは、下関を母港とする勇新丸(724トン)と第2勇新丸(747トン)。来年3月まで南極海でミンククジラ333頭を捕獲する予定だ。
18日朝の出港式では、岸壁で船員の家族や関係者が手を振って見送り、航海の無事と調査捕鯨の成功を祈った。水産庁の保科正樹・増殖推進部長は「調査は鯨類や海洋生態系の科学的情報を集積し、我が国の悲願である商業捕鯨の一日も早い再開につなげるためのもの。気概を持って取り組んでいただきたい」と述べた。
日本の調査捕鯨を巡っては2014年3月、国際司法裁判所が南極海での捕鯨停止を命じる判決を下した。日本は同11月に、捕獲対象を鯨の中では比較的小さく、生息数が多いミンククジラに絞り、捕獲数も従来の3分の1に減らす調査計画をIWCに提出。昨年度から捕鯨を再開した。(白石昌幸)