闘病中のヨガ講師、末松恵さん(中央)が、難病を抱える患者にヨガを教えていた=福岡県新宮町、伊藤繭莉撮影
難病患者が抱える病状悪化の不安を癒やそうと、ボランティアでヨガを教える女性がいる。自らも難病と闘いながら、患者たちに寄り添っている。
「大きな呼吸をしてください。吐く息を長くして」。ヨガ講師の末松恵さん(49)=福岡市東区=の低く穏やかな声に合わせ、難病患者らがゆっくりと呼吸を始めた。
末松さんは2カ月に1回、福岡県新宮町で開かれる難病患者と家族の交流会「MSサロン」で10分間、ヨガを教えている。患者によって体の痛みや不調が異なるため、座りながらできる呼吸、軽い体のひねりや伸びを勧める。「痛みがあったら無理しないで」と、こまめに声をかける。体を鍛えるのではなく、心を落ち着かせるのが狙いだ。
参加した70代の女性は中枢神経に炎症が繰り返し起きる「多発性硬化症」に悩む。常に頭や首、肩に痛みがあり、症状悪化の不安も抱える。「すごくリラックスできて、心地よかった」
末松さん自身も7年前から多発性硬化症を患う。日常的に疲れやすく、家事や勤務時間以外は横になっているが、徐々に体が弱っていると感じる。年1回ほど症状が悪化し、体のまひや視力の低下などに悩まされて入院や通院を繰り返す。
発症前、職場のフィットネスク…