■稲田朋美・自民党政調会長(当時)
外圧もあるが…LGBT理解への法案、自民が腰重い理由
LGBTの問題に関して、我が党には関心がない方が多いと思うが、「1億総活躍」を進めていく上で、性的指向と性自認についても差別をなくし、人権を守り、活躍してもらうという観点が必要だ。
我が党は、人権とは何かがあいまいな包括的な人権擁護法案には反対だが、個別的な人権侵害についてはなくしていこうという方向性を決めている。私は、LGBTの問題は、保守の多様性を認めるという意味で、保守政党である自民党がしっかりと取り組むべき問題だと思っている。(2月23日、特命委の初会合で)
■古屋圭司・自民党性的指向・性自認に関する特命委員会委員長
我が党は、カミングアウトできる社会ではなく、カミングアウトする必要のない社会を目指す。差別禁止だとか罰則だとか、一部の方々が主張しているものとは全く違う。いわゆる「ジェンダー・フリー論」とも全く違う。超党派議員連盟の一部が考えている(差別禁止を定めた)法案とは、だいぶ理念が違う。
(同性カップルの権利保障については)今の時点では、そこまで議論する必要はないと思っている。あくまでも理解の増進をしていく。基本は(婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると定めた)憲法24条だ。(4月27日の特命委会合後、記者団に)
■馳浩・LGBTに関する課題を考える議員連盟会長(自民党)
(性的指向と性自認を理由にした差別禁止を定めた)野党案が国会に提出されているが、過半数がなければ審議もされないのが事実だ。かといって、無視もできない。その思いを踏まえながら、(超党派の国会議員がメンバーになっている議員連盟の)土俵は動かしていきたい。
(与野党が)対立する構図にしてはいけない。お互いに理解しあわないと、残念ながら、10年経っても100年経っても法律はできない。次の(通常)国会中も含め、(与野党調整の)作業は丁寧に進める。東京五輪前には、なんとかしたいなあと思っている。(11月14日の議連総会後、記者団に)
■谷合正明・公明党性的指向と性自認に関するPT座長
性的指向と性自認を理由とする差別のない社会を目指すとの認識に基づき、議員立法を整備する必要があると考えている。一方、超党派議員連盟でやってきているもの(差別解消法案)と、自民党の案(理解増進法案)が2本ある。
当事者の方の思いとして、まず性的指向と性自認に関する法制をということがある。成案を得ることが喫緊の課題だ。与党としての調整を図ったうえで、コンセンサスを得ることが望ましいと考えるに至った。
性的指向・性自認の多様なあり方については、まだまだ社会の理解が進んでいるとは言えず、差別解消についての法制化は時期尚早だ。性の多様性を尊重し、理解の促進を図る法整備を進めることが現実的であり、むしろ差別解消に向けた漸進的な方策と考えている。(5月27日、「党の基本的な考え方」の発表で)
■細野豪志・LGBTに関する課題を考える議員連盟顧問(民進党)
超党派の議員連盟が立ち上がったが、前に進まない状況になっている。我々(民進党)は差別解消法案の要綱をまとめたが、自民、公明両党は理解増進法案(を進める)と言っている。なぜ、「差別解消」という言葉を正面から使えないのか。まだ理解できない。
東京五輪・パラリンピックの2020年には、できればこの国でも、同性婚がしっかりと認められるような社会にしていきたい。少なくとも(同性カップルに結婚に準じた権利を保障する)パートナーシップ(制度)をつくりたい。16年か17年に一歩を踏み出しておかないと、二歩目は踏み出せない。(11月16日、性的少数者に関する「公正と平等」を求める集会で)
■池内沙織・共産党衆院議員
ヘイトスピーチに怒りを感じ、現場に駆けつけると、民族的マイノリティーに対するヘイトと同時にLGBTに対する悪罵も耳にした。違いを認め合わない社会で生きるのは嫌だという思いを、選挙でも訴えた。それで最初の(国会)質問では、人権の課題で、とりわけまだまだ見えない状況に追いやられているLGBTのことをやった。
私自身、「なんとからしさ」に縛られることに違和感を感じながら生きてきた。私は社会から求められる「女らしさ」に自分を合わせようとして苦しんだし、全然そうもいかない自分がいた。自分が自分であることが、もっとありのままに認められる社会にしなきゃいけない。性的指向・性自認の問題はみんなの課題だ。ジェンダーの問題もあるし、性はグラデーションだ。(2月16日、性的少数者の当事者の学生らと国会議員の意見交換会で)