愛知県武豊町で昨年8月、新聞配達中の男性(当時31)が胸を矢で撃たれるなどして重傷を負った事件で、殺人未遂などの罪に問われた無職山口泰斗(たいと)被告(29)=同町=の裁判員裁判が29日、名古屋地裁で始まった。山口被告は起訴内容を大筋で認めつつ、「殺害が目的ではなかった」と殺意については否定した。
起訴状などによると、山口被告は昨年8月12日午前2時45分ごろ、同町若宮の県営住宅敷地内で、新聞配達をしていた男性にクロスボウ(洋弓銃)を発射して胸に命中させたうえ、胸や腹、背中をサバイバルナイフで刺して殺害しようとしたとされる。
冒頭陳述で検察側は、山口被告が被害者とのトラブルから殺意を抱いたと指摘。「ナイフで意図的に突き刺しており、両胸の傷は致命傷になり得るものだった」と述べ、強固な殺意があったと主張した。弁護側は、犯行の目的は被害者に恐怖心をうえつけるためだったと反論。「命を奪うために犯行を実行したわけではない」と述べた。