消費者庁の検討会=9日午前10時1分、東京・霞が関、奥山俊宏撮影
公益通報者保護法の改正を議論してきた消費者庁の検討会に9日、最終報告書の案が示された。組織の不正に関する現場の声を受け付け、自浄に生かそうとする企業の内部通報制度の形骸化への対策も課題の一つで、報告書案には、事業者側への守秘義務の導入など改善策が盛り込まれた。
内部通報制度は2000年ごろ、大手企業を中心に「ヘルプライン」などの名称で導入が始まった。経団連は02年に不祥事防止策として会員企業(現在1342社)に整備を促した。公益通報者保護法が04年に制定され、その動きを後押し。12年度の消費者庁の調査によれば、従業員3千人超の大企業の97%が内部通報制度を導入している。
だが、東芝やオリンパスでは内部通報制度が機能せず大きな不祥事に発展。消費者庁は昨年、弁護士や学者、企業人、内部告発経験者らによる検討会を発足させ、改善するための議論を重ねてきた。
最終報告書案では、実効性ある内部通報制度の整備を事業者に促す規定の新設など法改正の検討を提言。報道機関など外部に告発しやすくするための法改正も提言に含まれており、これには、内部通報制度の形骸化に警鐘を鳴らす意味もある。
さらに、消費者庁は9日、内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けのガイドラインを制定。制度がきちんと機能しているかどうか自己点検するなどの対策を企業に呼びかけていく方針だ。