セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木康弘取締役(51)が退任することが9日分かった。30日付で退く。康弘氏は前会長の鈴木敏文名誉顧問(84)の次男で、インターネットと実店舗の融合戦略を担当。「仕事の区切りがついた」ことが理由という。
康弘氏は富士通などを経て、2006年にセブン&アイグループに入った。15年には取締役に就任。敏文氏が掲げたネットと実店舗を融合させる「オムニチャネル」戦略の責任者を務めてきた。セブン&アイ広報によると、康弘氏は「手がけていた仕事の区切りがついた」と話し、退任する意向を示したという。
セブン&アイでは、子会社人事をめぐる騒動で敏文氏が5月に退任した後、新社長に就いた井阪隆一氏が事業の改革に着手。10月の中期経営計画発表時には、競合が多いネット通販で不特定多数の客を取り込もうとしたのが失敗だったとして、オムニチャネル戦略を見直すと表明していた。
セブン&アイでは、鈴木敏文氏の親子が経営陣から相次いで離れる一方、創業家の伊藤家の影響力が強まりそうだ。7日には、名誉会長でイトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏(92)の次男、順朗氏(58)の役員昇格人事を発表。19日付で取締役執行役員から取締役常務執行役員となり、経営推進室長にも就くとした。(栗林史子)