新国立競技場の概要
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の起工式が11日に行われる。工費の高騰で建設計画が白紙撤回され、当初より1年2カ月遅れで着工にこぎ着けた。ただ、五輪後の運営管理をめぐり、トラックの存廃や採算性確保など新たな課題も横たわる。
特集:国立競技場
「ようやく槌音(つちおと)を上げられる時を迎えられ、大変うれしい。(五輪の)レガシーのモデルになれば望ましい」。丸川珠代五輪相は9日にあった閣議後の記者会見で、新競技場の着工に期待を込めた。
政府の作業チームは今年秋、新競技場の五輪後の運営管理について論点整理を公表した。焦点の一つに、どの競技を主な使用対象とするのかがある。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「新競技場をサッカー専用スタジアムにしたい。サッカーには、会場を満員にできる国際大会などのキラーコンテンツがある」と強調する。同協会は2023年の女子ワールドカップ(W杯)の招致に乗り出しており、将来的な男子W杯の招致もめざす。
同協会の念頭にあるのはトラックの撤去だ。トラックがあるとフィールドと観客席が離れてしまい、臨場感が薄れるためだ。
これに対し、日本陸上競技連盟は、作業チームの意見聴取でトラックを残すよう求めた。「国立競技場は陸上競技の聖地であり、利用頻度が高くなるような運営を考えたい」。リオデジャネイロ五輪の男子400メートルリレーで銀メダルを獲得し、注目度が高まっていることを追い風とする。
政府作業チーム事務局長の高橋…