マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ理事長=ワシントン、ランハム裕子撮影
■米マンスフィールド財団理事長、フランク・ジャヌージ氏
4島返還か2島か 妥結の道は
――プーチン大統領の訪日をどう見ますか。
「安倍晋三首相とプーチン氏が北方領土で双方満足する合意はできないと考える。プーチン氏は主権、領土、国家の尊厳、国家主義を強く意識し、十分な提案はしない。安倍氏も十分な動機を与えられないだろう。ロシアが絶望的なほど経済的に困窮すれば、プーチン氏が柔軟になるかもしれないが、現実には疑わしい」
「米国は、安倍氏がいかなる合意をしてもそれを支持するだろう。米国は北方領土問題解決に、それほど強い関心がない。冷戦時代には安全保障に関わるものだったが、今は違う」
――これまで、日ロが接近することに、米政府は警戒感を示してきました。
「合意を支持するだろうと言ったのは、オバマ政権が安倍氏とプーチン氏の接近を喜んでいるという意味ではない。むしろ逆だ。米国は、プーチン氏のウクライナやシリアでの振る舞いに対する圧力をかけ続けることが、米国の優先事項であると日本側に伝えている。圧力を弱めるいかなる交渉もオバマ政権にとっては懸念だ。しかし懸念は北方領土に対してではない」
「ただトランプ次期大統領によって、それも全て変わる。トランプ氏は(ロシアが併合した)クリミアにあまり関心を持っていない。トランプ氏は、ロシアの国際的な孤立や圧力を弱めることを進んで受け入れるだろう」