大学生がバリアフリーを考えた
2020年、東京は、日本は、五輪・パラリンピックを観戦に来た人たちにとって優しい街になれるのだろうか――。今夏、パラリンピックが開かれたブラジル・リオデジャネイロを視察した大学生たちが、成田空港から新国立競技場予定地まで車いすを使って移動し、バリアフリーを考えた。
街を歩いたのは上智大学4年の鈴木章大さん(22)と千葉佳奈子さん(21)、同大学院生の磯部翔平さん(25)。いずれも車いすを使うのは初めて。車いす利用者で、射撃競技で3大会連続パラリンピックに出場した田口亜希さん(45)が同行した。
今月1日午前11時、成田空港第1ターミナルから出発し、京成電鉄の特急スカイライナーに乗った。
車いすマークのついた車両に入ると、車いす専用スペースと近くに多機能トイレ。ただ、専用スペースは1編成に1人分しかない。「車いすの人が2人乗ったらどうするんですか?」。学生の質問に、同電鉄広報担当の道吉優作さんは「先に申し込みをいただいた方を優先します」。今回は、田口さんが自身の体を腕の力で持ち上げ、車いすから一般の席に身を移した。車いすは学生たちがたたんだ。
3人は、リオで車いすの人をたくさん見かけた。車いすの団体競技のチームが電車を利用したら――。「経験がありませんが、事前に申し出があれば対応を検討します」との回答だった。
日暮里駅で乗り換えたJR山手線は池袋駅で満員状態に。車いすの千葉さんから笑顔が消えた。「私、邪魔ですか。乗っていていいのかな」。新宿駅に着き、千葉さんはスロープを進む。傾斜でうまく前に進めず、JR東日本の委託を受けた職員が押してくれた。ごった返す構内。学生3人は声をそろえた。「リオに比べて東京は人が多すぎる」
JR千駄ケ谷駅を出て建設中の…