柿本城址の解説をする観光ボランティアガイドの杉山陽司さん(奥)=新城市下吉田
来年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放送を前に、ゆかりある愛知県新城市の観光協会などが、観光PRに乗り出した。のぼりや観光パンフレットの製作のほか、「井伊谷三人衆」の一人、鈴木重時の居城だった柿本城址(じょうし)=同市下吉田=では、市民有志らが「武将隊」を結成し、ボランティアガイドを始めた。
遠州井伊谷(現・浜松市北区)の城主だった直虎。その養子の虎松が、7歳の時に預けられたのが、新城にある鳳来寺だ。平安末期には源頼朝が3年間かくまわれたこの地で、虎松は14歳まで過ごしたとされる。虎松はその後、徳川四天王の一人、井伊直政となった。
鳳来寺のほか、「井伊谷三人衆」として直政を支えた、鈴木重時と近藤康用が城主を務めた柿本城址と宇利城址がある。
柿本城址がある同市山吉田地区では、地元住民の有志らが「柿本城武将隊」を結成。道の整備や看板の設置などに加え、10月にはボランティアガイド養成講座を開催し、約30人が受講した。
11月20日にあった初の観光ガイドツアーは、道の駅「鳳来三河三石」から出発し、徳川家康が武田信玄の軍勢から逃げる途中に立ち寄った満光寺を経由し、柿本城跡を目指した。
ハンドマイクを握って、ガイドしたのは地元出身の市職員杉山陽司さん(44)は「城跡は子どもの頃の遊び場だった。大河ドラマをきっかけにスポットが当たり、地域が盛り上がればうれしい」と話す。
市観光協会などは「井伊家ゆかりのまち」をPRするのぼり旗や、観光地なども盛り込んだパンフレットも製作。さらには奥浜名湖観光協会(浜松市)などと連携した事業も展開する。来年1月末からスタンプラリーや各種イベント、講演会などを展開し、双方が協力して観光客誘致に取り組む予定だ。
新城市観光課の杉山典久課長は「県境を越え、直虎効果を最大限に生かして観光PRに努めていきたい」と話す。(松永佳伸)