鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事は19日、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全性などを確認する県独自の第三者組織「原子力安全・避難計画等防災専門委員会」を設置し、12人の委員名を公表した。28日に初会合を開く。
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委員には、東京電力福島第一原発事故の検証を続ける新潟県の有識者委員会で座長を務める中島健・京都大教授(原子力工学)ら、ほかの立地自治体で同様の組織に加わる6人のほか、鹿児島大と九州大の地震・火山、防災、原子力などの専門家5人が入った。反原発派が県側に要望した専門家は含まれていない。
三反園知事は「賛成か反対かを議論するのでなく、専門的見地から公平公正に判断してもらえる人を選んだ」と説明した。ただ、委員が電力業界から報酬や寄付を受けたことがあるかどうかは調べていない。
専門委は今年度内に2回の会合を予定。川内1号機で実施された「特別点検」や定期検査について九電や原子力規制庁から説明を受けて安全性を確認し、事故時の避難計画の実効性も検証するという。三反園知事は「年度内に意見が集約できれば、私なりに判断したい」と述べた。ただ、県議会の審議で県側は「国や規制委に意見を言う委員会ではない」「原発の稼働・停止を判断しない」などと説明している。(中島健)
■鹿児島県原子力安全・避難計画等防災専門委員会のメンバー
浅野敏之・鹿児島大地域防災教育研究センター長(海岸工学)
釜江克宏・京都大原子炉実験所教授(地震工学)
相良雅史・量子科学技術研究開発機構主任研究員(放射線影響)
佐藤暁・原子力コンサルタント(原発の国際情報)
地頭薗隆・鹿児島大教授(砂防学)
塚田祥文・福島大環境放射能研究所教授(環境放射生態学)
中島健・京都大原子炉実験所教授(原子炉物理、臨界安全)
古田一雄・東京大教授(ヒューマンファクター)
松成裕子・鹿児島大教授(放射線看護)
宮町宏樹・鹿児島大教授(地震学・火山物理学)
守田幸路・九州大教授(原子炉熱流動・安全工学)
山内康英・多摩大情報社会学研究所教授(災害情報伝達)