米国で人気のレストラン「フーターズ」の店員のコスチュームを着る2008年のパドレスのルーキーたち=AP
一人前の大リーガーになるための伝統の「通過儀礼」が、来季から大きく様変わりしそうだ。シーズン終盤、新人選手に仮装させ、次の試合の開催地まで移動させるユーモアを込めた歓迎の儀式で、女装などが禁止となった。
スーパーヒーローに、チアリーダー、着ぐるみ、アニメのキャラクター……。これまでは制限はなく、仮装パーティーのようだった。しかし、大リーグ機構(MLB)と選手会が11月末に合意した新労使協定に、「いじめ禁止」条項が新設。AP通信によると、その中に「女装または、人種、性別、国籍、年齢、性的指向、そのほかの特徴を強調し、個人に不快を与える衣装を要求、強要、促すことを禁ずる」と記されているという。
この行事がいつ始まったのかは正式な記録に残っていないが、いつしか大リーグに昇格した新人を迎える儀式として定着。各チームとも、おおむねレギュラーシーズン終盤の遠征時に行っている。
試合を終え、新人たちがクラブハウスへ引き揚げてくると、ロッカーにあった私服は隠され、代わりに見慣れない服などがかけられている。海水パンツやタイツ、ミニスカート。各球団のベテラン選手らの好みによって、コスチュームは決まる。新人はそれを着たまま、バスや飛行機に乗り、次の試合の開催地まで移動するのが「ルール」だ。
有望な選手でも原則、回避は許されない。近年ではナショナルズのハーパーは女子体操選手、エンゼルスのトラウトは人気女性歌手レディー・ガガさんの格好をさせられている。最近は新人スタッフも参加。今年9月、ドジャースの前田も通訳らと一緒にチアリーダーのユニホーム姿で報道陣の前に現れた。
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