薬師寺東塔 心柱の修理
約1世紀ぶりの解体修理が進行中の奈良・薬師寺の東塔(国宝、高さ約34メートル)は、年明けから再組み立てが本格化する。そのリズミカルな建築美は、年輪年代測定で奈良時代前半に新築されたことが確定したが、約1300年前の姿を取り戻せるのか。最先端の技術と知恵を生かした巨大建築の解体修理を追った。
薬師寺東塔は奈良時代の建設 新築?移築?論争決着へ
「なんで、こんなところを切ったんやろ?」
最上階の3層の屋根を解体していた2013年夏、奈良県文化財保存事務所の松本全孝(まさたか)棟梁(とうりょう)らは、首をかしげていた。屋根を支える重要な部材が、本来不要なところで切られているのが見つかったからだ。
その謎は初層(1階)まで解体し、基壇があらわになってから判明した。基壇そのものは、土を何層にも突き固める「版築(はんちく)」が強固に施されていたが、柱を支える礎石のほとんどすべてが、軟弱な地盤のために不等沈下を起こしていた。
元奈良国立文化財研究所長で、…