硫化水素ガス濃度の基準値と基準値を超えた浴槽
火山性の硫化水素ガスを含む温泉を環境省が調べると、全国の8割を超える浴槽で濃度の定期的な測定が行われず、33カ所で国の基準値を超えていた。業者や役所の取り組みは地域によって大きくばらつく。安全を守る対策に穴が開いている実態が浮かんだ。
温泉の硫化水素、33カ所で基準超え 環境省が全国調査
■測定に人手回らず
「泉質はどこにも負けないと評価されてきたのに。濃度が下がらず、営業を続けられるか不安です」
浴槽の硫化水素ガス濃度が国の基準値を上回った北日本の温泉旅館。保健所の測定結果を聞き、経営者は「こんなに高いなんて」と驚いたという。
この調査結果を聞いてから、内湯で長湯をしないよう貼り紙で注意を促し、従業員が見回りもしている。浴室の窓を開けられない冬場は宿泊を断っている。
環境省は濃度が下がらない浴槽については使用停止を求める考えだが、対策には大がかりな設備が必要で費用もかかる。この経営者は「対応できる見通しは立っていない」という。
長野県内の老舗の温泉ホテルは…