米国での原発事業で巨額損失を計上する見通しになった東芝が、グループ会社のうち上場する7社の株式の一部を売却する検討をしていることが分かった。3月末までの資金捻出策の一環。東芝に対する取引金融機関からの融資は当面継続される方向となった。
株式売却を検討しているのは、株式の過半を握る連結子会社と20%以上を所有する持ち分法適用会社のうち、東証1、2部などに上場している7社。店舗向け販売管理(POS)システムで大手の東芝テックや、工作機械メーカーの東芝機械などがある。上場しているため、機動的に株式を売却しやすい利点がある。東芝の損失額は7千億円規模になる可能性もあり、東芝は2017年3月期の債務超過を避けるため、3月末までの資金捻出を急いでいる。
ただ、多くの持ち株を一気に売却するのは現実的でないうえ、安値で利益につながらないものもあり、捻出額は「どうやっても数十億円規模」(東芝幹部)との見方も出ている。非上場のグループ会社も売却できる会社があれば検討するが、買い手を見つけて交渉する必要があり、3月末に間に合わせるのは難しいとみられる。
東芝の取引金融機関は23日、東芝から要請を受けていた2月末までの融資継続に大半が同意した。東芝は10日に、財務格付けの引き下げなどにより、借り入れの前提として約束した条件に抵触しても当面の融資を継続してもらえるよう金融機関に要請。三井住友、みずほ、三井住友信託の主力3銀行はすでに融資継続の方針を示していたが、地方銀行など他の金融機関は23日が方針回答の期限で、大半が融資継続に同意したという。(川田俊男)