川内原発の近くからバスで避難し、汚染状況の検査を受ける住民=鹿児島県日置市の伊集院総合運動公園
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)での過酷事故を想定した防災訓練を28日、鹿児島県と原発周辺9市町が実施した。昨年4月の熊本地震を踏まえ、住宅が壊れた場合の住民避難の手順を確認する新たな取り組みも行ったが、計画通りに避難できるか、実効性になお課題が残った。
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訓練は原発沖で震度6強の地震が発生し、放射性物質が大量に放出されたとの想定。住民や自衛隊、海上保安庁など180機関、計約4200人が参加した。大規模な訓練は2015年の再稼働後2回目。
原発の5~30キロ圏の住民はまず自宅など屋内に退避し、放射線量の実測値に応じて避難することになっているが、震度7が続発した熊本地震では多くの家屋が倒壊し、屋内にとどまるのが難しかった。訓練では住民が自宅の代わりに近くの公共施設に退避する手順を確認した。だが、参加した同県いちき串木野市の主婦(70)は「いざ事故になったら、車で我先に逃げる人が多いのでは」と話した。
九電が福祉車両を出して山間部の住民の避難を支援したほか、県独自のシステムを使って10~30キロ圏にある福祉施設の入所者らを実際に30キロ圏外の鹿児島市などへ避難させる訓練も実施した。三反園訓(みたぞのさとし)知事は「様々な反省点、改善点が出てくると思う。国や市町とも連携して、避難計画の見直すべき点があれば見直したい」と述べた。
川内原発は、1号機は定期検査を経て昨年12月に運転再開した。2号機は現在、定期検査のために運転を停止している。(中島健)