記者会見する中部証券金融の湯本崇雄社長=名古屋市中区の名古屋証券取引所
中部証券金融(中証金、名古屋市)は8日、自主廃業を決めたと発表した。6月の株主総会で解散を決議して9月30日付で解散する。事業の先行きが見通せないためで、16人いる正社員は全員解雇する。国内の証券金融業者は、日本証券金融(日証金)1社のみになる。
中証金は名古屋証券取引所の指定証券金融業者。名証の上場銘柄について、証券会社が信用取引の決済をする際に必要となるお金や株を貸し付けている。バブル期の1990年度には700億円程度の融資残高があったが、名証の取引減少に伴い、直近は10億円程度に落ち込んでいた。約50人いた従業員を減らすなど経費を削減してきたが、湯本崇雄社長は会見で「これ以上踏ん張っても傷が大きくなるだけ。長い目で見て維持は難しいと判断した」と話した。今後は、日証金が業務を引き継ぐ見通し。国内では東京、大阪の両証券取引所の統合に伴い、日証金が大阪証券金融と2013年に合併している。