いつもより2時間早く午後3時に開店した居酒屋は、1時間後にはほぼ満席になった=24日午後5時ごろ、東京都港区
月末の金曜日の仕事を午後3時に切り上げる「プレミアムフライデー」が24日から始まった。早帰りで消費を増やしてもらい、労働時間も短くするという「二兎(にと)」を追う、官民挙げた取り組み。政府や経済界は、消費拡大や働き方改革につなげようと期待するが、果たして定着するだろうか。
プレミアムフライデー特集
「3、2、1、カンパーイ」。JR東京駅近くの大丸東京店のイベントでは、午後3時ちょうどに女性モデルらが乾杯。割引やイベントなど50種類の企画が始まった。担当者は「プレミアムフライデーを盛り上げていきたい」。
企業はこれを商機とみて、様々なイベントや商品を用意する。西武池袋本店の屋上庭園では、足湯で旅行気分が味わえる。地下の食品売り場では「フライ」とかけた揚げ物の試食も。
ワタミ系の「ニッポンまぐろ漁業団」新橋店(東京都港区)は、通常より2時間早い午後3時に開店し、ハイボールなどを割安に提供。約1時間後には176席がほぼ満席になり、男性会社員(32)は「楽しいけど、日が高いうちに飲むのに違和感も」。
旅行業界は、金曜夕に出発するプランを用意した。ただ、ある大手旅行会社は「専用商品が爆発的に売れているとは言えない」(広報)。キャンセル料を心配する人が多いようだ。
働き手からは労働時間短縮を歓迎する声が目立つ。
シャンプーなどの製造販売会社「アンファー」(東京都)は、社員に午後4時の退社を推奨。24日は、午後4時過ぎに社員120人の大半が退社した。社員の小林麻美さん(32)は山梨県の河口湖に一人旅をする予定。「やりたかったことをできる時間ができた。仕事での新しい発想や目標につながるよう、有効活用したい」
東京・銀座では午後4時過ぎ、旅行会社「JTBコーポレートセールス」が企画したヨガイベントがあった。フレックスタイムで自主的に早帰りした会社員の女性(32)は、「明るい時間にヨガができて気持ち良かった。うちの会社も制度化してくれたら、もっと帰りやすくなるのに」。
一方で懐疑的な見方も。都内の小売会社員、東海林(しょうじ)俊和さん(53)は、「月末は何かと締め切りがある。業種もかなり限られるだろうし、週末に勤務時間が短くなれば翌週にその分苦しむだけ。導入できる会社は少ないのでは」。