甲子園練習に参加した中村の卒業生
21世紀枠で出場する、選手16人の中村の甲子園練習には強力な援軍がいた。今月1日に卒業式を終えたばかりの先輩たちだ。
打撃投手役を務めたのは昨夏のエース渡辺大晴。「2月からこの日のために練習してきた。『ガチ』で投げました。気持ちよかったです」と汗をぬぐった。
ノックの補助や打撃練習の守備。受験勉強などで来られない者もいたが、14人の卒業生のうち、8人が甲子園の土を踏んだ。もちろん、みんな初めてだ。笑顔の彼らを眺めながら、横山監督が言った。「ここに来られたのは彼らのおかげです」と。
なぜか。21世紀枠の選考基準には、「近年、県内で上位の成績を挙げながら甲子園に届いていない学校」という項目がある。中村は昨春の県大会で4強入り。夏の高知大会では強豪私学の高知を破って決勝に進出したが、明徳義塾に2―4で惜敗した。
ただ、「夏に決勝の舞台までいけたことで、強豪相手でも臆せず戦えるようになった」と渡辺から背番号1を継いだ北原は言う。秋の県大会で明徳義塾を2―0破って優勝したのは、夏までに先輩たちが作った「流れ」があったからだ。北原は「受け継いだものは大きい。先輩たちには感謝しています」。
渡辺にも甲子園でプレーしたい思いはあるだろう。でも、後輩たちには、まっすぐにこんな言葉を贈った。「こうやってマウンドに立たせてもらって感謝したい。自分たちの分も頑張ってほしい」。選手にとって、何よりも心強いエールだろう。(山口史朗)