韓国の最大野党「共に民主党」の議員が29日、慰安婦問題を象徴する少女像の設置を支援する法案を国会に提出したと発表した。5月の大統領選をにらみ、日韓慰安婦合意を主導した朴政権の与党側を揺さぶる狙いがあるとみられる。成立すれば、日韓関係に悪影響を及ぼしそうだ。
法案は、「慰安婦被害者の生活安定支援などに関する法律」を改正し、市民団体が慰安婦に関係する造形物を設置する際、政府が地元自治体に協力を要請できるようにする。提出議員は「政府が介入できる法的根拠を設け、像の設置を巡る社会の摩擦を解消できる」と説明するが、政府が少女像の設置を積極的に認めるようにもとれる内容だ。
共に民主党は現在、韓国国会(定数300)で121議席を持ち比較第1党。39議席の第2野党・国民の党と合わせて過半数を占める。大統領候補で支持率トップの文在寅・前共に民主党代表ら主要候補は、罷免(ひめん)された朴槿恵(パククネ)前大統領が主導した日韓慰安婦合意に反対の立場をとっている。
これに対し、与党・自由韓国党の関係者の一人は「慰安婦合意に反感を持つ国民感情を利用したポピュリズム法案」と批判。一方で「予算が伴わず、政府の支援を義務づける法案ではないので、反対しにくい」と語った。(ソウル=武田肇、牧野愛博)