絵本を囲むぬいぐるみたち(岡山市北区、岡崎善弘さん提供)
ぬいぐるみが深夜の図書館や書店に集まり、絵本パーティーを開いているらしい。そんな「証拠写真」を子どもに見せて、読書に対する関心をかき立てようとする試み「ぬいぐるみお泊まり会」が各地で開かれている。本当に子どもは本好きになるのか。岡山大の研究者が効果を確かめた。成果はオランダの国際学術誌に掲載された。
ぬいぐるみお泊まり会は米国で2006年ごろ始まった。子どものぬいぐるみを1晩預かり、図書館内で遊んだり絵本を読んだりしている光景を撮影する。翌日、「証拠写真」と一緒にぬいぐるみが読んでいた絵本を子どもに手渡す、というものだ。
岡山大の岡崎善弘講師(発達心理学)によると、日本では10年ごろから広がり、各地図書館の人気企画となっている。しかし、実際に「本好きになる」効果があるのかどうか、分かっていなかった。
そこで岡崎さんは、岡山市内の幼稚園の協力を得て、3~5歳の園児42人を対象に、効果を測定することにした。
調査は①13体のぬいぐるみを幼稚園に届けて遊んでもらう②約30日後に「夜の絵本パーティー」への招待状をぬいぐるみたちに届ける③夜の書店でパーティーの様子を撮影④翌日、子どもたちに写真を見せて「絵本、楽しかったって。読んであげたら喜ぶかもね」などと話す――という段取りで進めた。
すると、その日は園児たちの半数にあたる21人が、ぬいぐるみに絵本を読み聞かせた。そのようなことをする子は「パーティー」前には2人しかいなかった。しかし、3日後には4人に急減した。1カ月後、幼稚園でぬいぐるみを隠し「また絵本パーティーに行ったのかな?」と示唆すると、14人の子が読み聞かせ行動を再開した。
また、サンタクロースのような…