アーチェリーの練習に励む岡崎愛子さん=東京都港区、石田貴子撮影
アーチェリーで東京パラリンピックに――。12年前の107人が死亡したJR宝塚線(福知山線)脱線事故で負傷し、車いす生活になった女性がいま、希望を胸に練習に励んでいる。そばで支えてくれるパートナーとともに夢舞台を目指している。
特集:JR宝塚線脱線事故
東京都港区のスポーツセンターで19日、同区に住む岡崎愛子さん(31)が車いすに座って弓を構えていた。30メートル先を見据えて数秒、放たれた矢が「パーン」と音をたて、的に刺さった。
6本放つと、パートナーの堀雄太さん(36)がスマートフォンで的の写真を撮る。「高さが合ってる」。岡崎さんはその画面を見て笑顔を見せた。
2005年4月25日朝。同志社大2年で、通学のため快速電車の1両目に乗った。尼崎駅手前のカーブに差しかかったとき、車両右側が「フワッ」と浮き、体が前に飛ばされた。
首の骨が折れる重傷で、負傷者562人の中で入院が最長の377日に及んだ。首から下にまひが残り、下半身はほとんど動かない。食事には自助具が必要でヘルパーの助けを受けて暮らす。
好きな犬に関わる仕事に携わりたいと、勤めていた東京の大手電機メーカーを14年に退職。その後、「車いすの人もやっているみたいよ」という母の一言でアーチェリーを始めた。
当初は重さが約2キロある弓を…