集会が開かれた建物=30日午後、兵庫県尼崎市
指定暴力団神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)から組員が離脱し、30日、兵庫県尼崎市の組事務所で集会を開いて新組織「任俠(にんきょう)団体 山口組」の結成を表明した。新組織の幹部らは報道陣を前に、会費をめぐる対応などに絡んで神戸山口組の組長への不満を口にした。兵庫県警などは情報収集を急ぐとともに、抗争の激化を警戒している。
山口組組長へのサイン騒動「大勢が絶望」 新組織の幹部
神戸山口組が分裂か 新組織結成の動き、警察が注視
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捜査関係者らによると、新組織は親睦団体を自称し、組長は置いていない。代表には神戸山口組の元幹部で、組内の最大組織「山健組」(神戸市中央区)の織田絆誠(よしのり)・元副組長(50)=神戸山口組と山健組から絶縁=が就いた。神戸山口組の直系団体だった真鍋組(兵庫県尼崎市)、古川組(同)、山健組を離脱した約30団体も参加する見通しという。
集会は古川組の事務所であり、捜査員が出入りする車のナンバーから、どの組幹部が参加したかを確認した。集会後、新組織の本部長に就いた真鍋組の池田幸治組長(50)が異例の記者説明をした。決意表明文を読み上げ、神戸山口組の井上邦雄組長(68)の集金方法について批判した。
警察当局が分裂とみなすかは不透明な状況だ。神戸山口組内の内紛ではなく分裂と判断した場合、新組織が指定暴力団から外れて暴力団対策法の規制対象とならず、中止命令などが出せなくなる恐れがある。ある捜査幹部は「組織の位置づけや活動を見極め、慎重に判断する」と話す。
2015年8月に山口組が分裂して以降、神戸山口組が昨年4月に指定暴力団に指定されるまでの約8カ月の間に、両団体の組員らによる抗争とみられる事件は75件。指定されてからの1年間に約20件発生した。
一方、神戸山口組は30日、神戸市中央区の関連施設で執行部会を開催。新組織への移籍を警戒し、引き締めを図ったとみられる。
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〈指定暴力団〉 昨年4月に指定された神戸山口組を含めて全国で22団体ある。暴力団対策法に基づき、威圧的行動などで資金を得ている、犯罪歴がある組員が一定以上いるなどの条件を満たす暴力団を都道府県の公安委員会が指定する。用心棒代などを求めた組員に対する中止命令や、対立抗争を起こしたら事務所を使えなくする命令などのほか、組長らに被害者への賠償責任を負わせる規定がある。抗争を繰り返すと規制のより厳しい「特定抗争指定暴力団」に指定される可能性がある。