南スーダンPKOの任務を終え、帰国した陸上自衛隊員を出迎える家族ら=27日午後、青森市の青森駐屯地、福留庸友撮影
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊施設部隊がすべて帰国した。現地の治安情勢は、停戦合意などPKO参加5原則との整合性が問われ続けた。家族たちは無事を喜ぶ一方、隊員らは多くを語らず、複雑な思いも打ち明けた。
南スーダンPKO派遣部隊、最後の40人が帰国
特集:南スーダンPKO
27日正午前、青森空港で出迎えた女性(58)は、息子(34)をみつけてハンカチで涙をぬぐった。思わず駆け寄り、「よく帰ってきた」と声をかけた。
陸自第9師団(青森市)を中心とする第11次隊(約350人)は、4月から4回に分かれて帰国した。
岩手県の60代の女性は、今月14日に帰国した40代の長男が漏らした一言が胸に残る。「銃声がしょっちゅう響いていた」。5原則の一つに「紛争当事者間の停戦合意」がある。長男の言葉からは情勢が安定していたとはうかがわれないが、「遠い国の発展に尽くせたなら、息子は私の誇り」。そう思うようにしている。
6日に20代の次男が帰国した60代の女性も、「無事に帰ってきただけで十分」。帰国した日に顔を見せた次男は、おすしを家に持ち帰って食べ、「涙が出そうになった」と話したという。現地の様子については「言われているような、危ないところではなかった」と語るだけ。再びどこかに赴任する可能性もあるが、女性は「命の心配をする日々は、もうたくさん」。
LINEやテレビ電話で連絡を取っていたという青森県の女性(39)の夫も、現地の子どもたちの様子や暑かったことぐらいしか話さない。女性は「やっと帰ってきたのだから、仕事のことは忘れて休んで欲しい」。自分からは現地の状況はあえて聞かないようにしているという。(桑原紀彦、姫野直行)