溶融炉停止の操作をする浜田恵造・香川県知事(右)=12日午前10時5分、香川県直島町
国内最悪とされる産業廃棄物不法投棄事件があった香川県の豊島(てしま、土庄町〈とのしょうちょう〉)から運び出された産廃の無害化処理が12日、終了した。2003年からダイオキシン類や水銀などに汚染された産廃を燃やしてきた隣島の直島(同県直島町)の溶融炉の火がこの日、落とされた。豊島再生は今後、汚染された地下水の浄化作業などに軸足を移す。
この日午前10時、直島にある溶融炉の中央制御室に入った浜田恵造知事がパソコンの前に座り、炉の停止の指示を出した。浜田知事は「大きな区切り。大変感慨深い」と話した。約1300度ある溶融炉は徐々に火を落とし、19時間後に完全に停止する。
豊島では、1978年に県が業者に産廃処理を許可。自動車のシュレッダーダストや廃油などが不法投棄された。島民は業者への指導や許可取り消しを県に訴えたが、県は90年に兵庫県警が廃棄物処理法違反の疑いで強制捜査に乗り出すまで搬入を止めようとしなかった。投棄された産廃は約91万トンに上る。
2000年、県と住民の間で公害調停が成立。当時の真鍋武紀(たけき)知事は「長期にわたり不安と苦痛を与えたことに心からおわびする」と住民に謝罪し、産廃を豊島から搬出すると約束。今年3月28日に直島への搬出を終え、無害化処理を続けていた。産廃撤去などの中心になって活動してきた廃棄物対策豊島住民会議によると、調停を申請した549人のうち320人が亡くなった。
ただ、産廃で汚染された地下水…