「中華人民共和国民法典(草案)」の審議は、第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の重要議題の1つだ。中国で初めて「法典」と名付けられたこの新たな法律は、現在「最も偉大で、最も膨大で、最も複雑な法律プロジェクト」と呼ばれている。2015年に編纂作業がスタートして以来、5年の苦労を経て、ついに最終段階へと入った。人民網が各社の報道をまとめて伝えた。
民法典に含まれている内容は?
民法典(草案)は計7編で、順に総則編、物権編、契約編、人格権編、婚姻家庭編、継承編、侵権責任編及び附則となっており、計1260条項、10万字以上ある。一人ひとりの権利と密接に関連しており、ゆりかごから墓場までを網羅した「社会生活の百科全書」といえるだろう。
民法典(草案)はその内容上、次のような点が特筆される。▽胎児権利の保護をいっそう重視し、遺産継承や贈与の授受など胎児の利益保護に関する場合は、胎児を民事権利能力をもつ存在と見なす▽住宅土地使用権の70年満期後の自動継続を明確化▽高利貸を禁止し、借入の金利は国の関連規定に違反することはできない▽「機関、企業、学校など」のセクシャルハラスメント防止責任を明確化▽自然人の「電子メールアドレス」や「移動情報」を個人情報の保護範囲に入れることを明確化▽養子縁組条件に対する制限を緩和し、すでに子女が1人いる場合も養子縁組を可能とする▽いい加減な気持ちでの離婚を避けるため、30日間の「離婚冷静期」を設ける▽人格権法と侵権責任法は単独の編になっている▽高所からの廃棄・落下物防止面で、不動産管理者は安全責任を果たさなければならないことを明確化▽遺贈扶養協議制度を整備し、扶養者の範囲を拡大し、継承者以外の組織や個人も扶養者になれることを明確化し、老後の過ごし方の多様化ニーズに応えられるようにした。
中国の特色 時代の特徴
取材に応じた代表・委員らは、概ね「中国民法典には中国の特色と時代の特徴がはっきりと体現されている」と評価している。
全国政協委員で中国人民大学法学院教授の湯維建氏は、「民法典は優れた家風の確立を重視し、英雄烈士名誉権の保護を強調し、公序良俗を守り、民事行為は信義誠実の原則を遵守しなければならないことを強調している」との見方を示した。
全国政協委員で河南省高級人民法院(裁判所)副院長の史小紅氏は、「民法典は勇気をもって正しい行いをすること、誠実で信義を重んじること、高齢者を敬い家族を大切にするなど、中国の伝統的美徳を法律にまで高め、社会の核心的価値を大いに発揚している」と述べた。