人工知能(AI)や通信を組み合わせた先端技術を、採用など「人事」に関わる業務に用いた事例を競う政府主催のコンテストが都内で開かれた。適材適所の配置や生産性の向上につながる技術を育てて「働き方改革」に生かすねらいがある。
人事分野(HR)に技術(テクノロジー)を活用する「HRテック」は、米国や中国などで有望なベンチャー投資の分野に育ちつつある。日本は遅れ気味だが、人事部門も人手不足に悩む中で、採用活動を効率良くすることや、個人に合った職場や働き方を見つけることにつながる技術の育成が急務とされている。政府内には「今年をHRテック元年にしたい」(経済産業省幹部)という声もある。
コンテストでは応募した103社から選ばれた8社が最終審査に臨んだ。
グランプリに選ばれたのは眼鏡大手のジンズ。眼鏡でまばたきの回数や姿勢を計測することで集中の度合いを数値化して、生産性向上につなげることができる仕組みを開発した。
このほか、スマホを使った動画撮影でどこでも採用面接を受けられるシステムを展開する東京のベンチャー企業「タレンタ」は、選考の速度が顧客企業で4倍に上がったと紹介。電子部品メーカーのホシデンは、脈拍や位置情報を計測する腕時計型の端末を全員が身につけることで、「職場で誰と誰が一緒に仕事をするとストレスが高まったりハラスメントがおきたりする」かが分かるようになる仕組みを提案した。(斎藤徳彦)