インタビューに臨む黒沢清監督=東京・赤坂、村上健撮影
9月18日からWOWOWで放送が始まるドラマ「予兆 散歩する侵略者」(全5話)。9日公開の映画「散歩する侵略者」と元のアイデアは同じだが、登場人物や展開はまったくの別ものとしてつくられたスピンオフだ。同時期に世に出る二つの「散歩する侵略者」を手がけた黒沢清監督に、「初めての体験」という企画について聞いた。
――ドラマ版のきっかけは何だったのでしょう?
映画の撮影に入る少し前、いわゆるスピンオフみたいなものをドラマでやりたいとプロデューサーから言われました。僕はこれまでやったことがなかったのですが、映画「リング」(1998年)のシナリオを書いた脚本家の高橋洋と久しぶりにまたやりたいと思っていたので、このスピンオフだったらちょうどいいかもしれないと思いました。高橋洋とは「蛇の道」(同)以来ですね。
――スピンオフと言っても、ドラマは独立した作品という印象がある。
正直言って、スピンオフの定義を知らなかった。やると言ったものの、最初は漠然としていました。映画版で始まりから終わりまでやってしまった感じがあったので、映画版の前や後というのは想像できなかった。それで、映画と「予兆」で時間軸は同じにしました。少し離れた別の街ではこんなことも起こっていたという物語に。ただ、これは「侵略SF」と呼んでいいジャンルかと思いますが、映画の中でやりたかったことはあらかたやってしまった。違うものをやろうという意思はあったのですが一体何をやればいいんだ、と。悪く言えば不自由に決まっていたので、だからこそ高橋洋に1回任せてみようと思いました。
――テレビ画面と映画館のスク…