今年上半期(1~6月)に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は1142件で前年同期より123件増え、過去最多を更新した。被害者のうち、裸の「自撮り画像」を送らされた子どもが4割を占め、統計を取り始めた2012年以降で最も多かった。警察庁が21日発表した。
警察庁によると、児童買春・児童ポルノ禁止法違反での摘発数が最も多かったのは子どもの裸を撮影する「製造」の724件(前年同期比106件増)だった。このうち、子どもに画像を送らせたのは316件(同22件増)と半数近くを占めた。
被害が判明した子ども594人のうち、自ら撮影した「自撮り画像」を送ってしまったのは263人と前年同期より25人増えた。3年連続の増加。中学生が最も多く全体の5割強を占め、高校生を含めると9割を超えた。大半は女の子だった。
画像を送ってしまった子どもの85・9%は面識がない相手に画像を送っていた。このうち、91・6%は交流サイトを通じて相手と知り合っていた。SNSで知り合ってやり取りを重ねるうちに相手を信頼してしまい、被害に遭うケースが多い。その後、悩みを打ち明けたら「ばらす」と脅されたり、裸の写真を交換しようとそそのかされたりして、画像を送ってしまうという。画像が本人の知らない間にネットに流出する事例もあり、警察庁は「ネット上での見知らぬ人との交流はリスクを伴うことを認識してほしい」と注意を呼びかけている。
警察庁はまた、児童虐待に関し、今年上半期に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもが3万人を超えたことも明らかにした。年間で過去最多となった昨年の上半期より5千人以上増えた。
暴言を浴びせるなど子どもの心を傷つける「心理的虐待」が全体の約7割を占めた。このうち、子どもの前で配偶者らを暴行したり罵倒したりといった「面前DV」の増加が目立っている。(浦野直樹)