男子400メートル自由形で優勝を逃した萩野公介=北村玲奈撮影
(3日、競泳日本選手権・男子400メートル自由形決勝)
2位でゴール後、スタート台にぶらさがった萩野公介はしばらく動けなかった。昨年も含め過去4度優勝している男子400メートル自由形で、自身の日本記録より4秒57遅い3分48秒47。アジア大会などの派遣標準記録に届かず、優勝した江原には1秒83差をつけられた。「ちょっと整理する時間をください」。インタビュー中、何度も首をかしげた。
200メートルまで日本記録を1秒上回る江原のペースに食らいついた。ただ、「やってやろうという思いが強くて、動きが硬かった」。後半もスピードを維持した江原とは対照的に失速。最後は3位の東京・日大豊山高3年の吉田にも0秒22差まで迫られた。
昨年から悩んでいるのは自由形のフォームだ。2016年9月に右ひじを手術して以降、安定しない。レース直後は「よい泳ぎはできていた」と前向きに振り返ったが、直後に「うーん」と考え直し、「最後は崩れていましたね」。悩みは深い。
年末年始に1カ月体調を崩したものの、3月の高地合宿では泳ぎを改善し、手応えを感じていた。ただ、泳ぎが崩れる悪癖は「大会が近づくと出てくるアレルギーみたいなもの」(平井監督)。大会2日前に「顔を上げる時間が長い」と異変を感じた平井監督は修正を試みた。萩野はこの日、朝からプールサイドでフォームを確認して臨んだが、後半に強い本来の泳ぎは見せられなかった。
「自由形はすべてのベースになる泳ぎ。そこで優勝すれば勢いに乗れる」と話していた萩野。リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した400メートル個人メドレーや同五輪銀の200メートル個人メドレーに向け、不安な船出となった。(照屋健)