嶺井博希
(25日、DeNA7―0阪神)
大きなフォロースルーが決まった。DeNAの嶺井にとって会心の当たりを表す打撃フォームだ。中堅左のフェンスに打球を直撃させ、2者を生還させた。
1点リードの六回。2死一、三塁で、小川打撃コーチから「思いきりの良さを出してこい」と背中を押されて打席へ向かった。前日から凡退が続いていたが、ラミレス監督が「クラッチヒッター(勝負強い打者)」と呼ぶ真価をここ一番で発揮する。高めに浮いた速球を逃さず、力強いスイングで殊勲打を放った。
戸柱の入団した昨季は出場機会が激減した。動きにキレを出すためオフに約10キロの減量を行い、肉付きがよかった体を見違えるほど絞った。沖縄出身で以前は毎日のように飲むほど酒好きだったが、今年は外出した時だけ。「まだまだ自分なんて。試合に出続ければボロが出ますから」と正捕手争いには控えめながら、シーズン終盤に入って存在感が際立ってきた。
ラミレス監督が今季最大の「ヤマ場」と選手たちを鼓舞した23日の中日戦から3戦続けて先発マスクをかぶり、3連勝。甲子園では2戦続けて投手陣を無失点に導き、この日、来日初完封を挙げたウィーランドは「嶺井がいいリードをしてくれた。2人で取った勝利」とたたえた。
この後は横浜に戻り、残り7試合はすべて本拠での戦いだ。「2位も狙える? ファンの皆さんも、選手全員もそう思っている」と主将の筒香。先発も、控えも、全員野球で戦い抜く。(波戸健一)
○ラミレス監督(D) バッテリーを称賛。「ウィーランドは文句のつけようがない。嶺井も大きな仕事をしてくれた」
○ウィーランド(D) 来日初完封。「最高です。完封は3、4年ぶりかな。試合を通して安定して投げられた」