「バベルの塔展」の展示作品に登場する図像をかたどったブリューゲル・モンスターフィギュア(造形企画制作:株式会社海洋堂)。公式マスコット「タラ夫」も同じ図像をモチーフにしている
展覧会のグッズ売り場では近年、定番だけでなく、ひねりを加えたユニークな品も登場している。作品鑑賞に加えて、もう一つの楽しみにしてもらおうという工夫がみえる。
【withnews】バベルの塔展「タラ夫」のすね毛が話題 必要あった?その背景には
大阪・中之島の国立国際美術館で10月15日まで開催中の「バベルの塔展」。特設グッズ売り場のレジの横には、赤茶色のタオルが塔のように積み重ねられていた。その名も「THE TOWEL OF BABEL」。「TOWEL(タオル)」が「TOWER(塔)」と1字違いだ。滋賀県野洲市の公務員、泉好人さん(41)は「ユニークで面白い商品が多かった」。版画作品に描かれるモンスターをイメージした展覧会公式マスコット「タラ夫」のグッズも人気という。
グッズの企画・販売を手がける「株式会社East」(東京都)の開(ひらき)永一郎社長(51)は「作品をそのまま持ち帰る気持ちになってもらえるようこだわった」と話す。立体的な「バベルの塔」を閉じ込めたスノードームは、小さなサイズでも塔の存在感が出るように形を設計し、台座部分は実際の絵の額縁をもとにデザインした。
ポストカード一つとっても、1枚に「バベルの塔」の全体を収めたもののほか、6枚1組で1枚の絵になるもの、塔が飛び出すポップアップのものなど様々な種類を用意した。
兵庫県立美術館(神戸市中央区)で10月3日に始まる、16~18世紀の西洋絵画の名品を集めた「大エルミタージュ美術館展」では、美術館があるロシアにちなみ、キリル文字で作家の名前をあしらったトートバッグや、ロシアの人気キャラクターが絵の登場人物に扮した、ぬいぐるみやタオルなどの「なりきりチェブラーシカ」グッズが販売される。「ショップに来るお客さんの目は高くなっている。月並みなものでは、目を留めてもらえない」と担当者。
京都国立博物館(京都市東山区)で10月3日に開幕する「国宝展」では、風神雷神図屛風(びょうぶ)をモチーフにしたフェイスマスクや、国宝の写真をあしらった来年のカレンダーなどが販売される。教科書に載る有名な作品も多いため、作品を手元に残したいという来場者の希望に添えるよう、ポストカードやクリアファイルの種類を通常よりも増やしたという。
さまざまなグッズが登場している背景には、グッズ販売が展覧会収入の一部として期待されている側面もあるという。ただ、開さんは「展覧会グッズは品質が重要」と説く。「美術館は、知ることが大好きな人、本物が大好きな人たちが来る場所。そこで用意するものは、その人たちに喜んでいただけるものでありたい」(松本紗知)
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各展覧会の問い合わせは国立国際美術館(06・6447・4680)▽兵庫県立美術館(078・262・0901)▽京都国立博物館(075・525・2473)。