衆院選に向けてのネット党首討論に臨む(右から)公明党の山口那津男代表、自民党の安倍晋三総裁、希望の党の小池百合子代表、共産党の志位和夫委員長=7日午後8時11分、東京・六本木のニコファーレ、飯塚晋一撮影
自民党総裁の安倍晋三首相は7日夜、衆院選公示を前に与野党8党の党首によるネット討論会に参加し、憲法9条の1項、2項を残し、自衛隊の存在を新たに書き加えるとした自身の提案をめぐって「シビリアンコントロール(文民統制)をしっかり明記する」と述べた。自衛隊の憲法明記に対する国民の不安を払拭(ふっしょく)するねらいがあるとみられる。
特集:2017衆院選
タイムライン:衆院選2017 発言録
討論会は、動画配信サイト「ニコニコ動画」で中継された。
2012年の自民党改憲草案では、9条で「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」と規定している。首相が自衛隊の最高指揮官として統制することを明確化するのが目的で、今回の首相の発言はこうした規定が念頭にある模様だ。
討論では、希望の党代表の小池百合子・東京都知事が「(自衛隊を憲法に)加えると、防衛省と自衛隊の関係はどうなるか。自衛隊のほうが上位に来るのではないか」と指摘。これに対し、首相は「防衛省と自衛隊の関係は変わらない。シビリアンコントロールをしっかりと明記していけば、よりくっきりとしたものになっていくのではないかと考えている」と答えた。
文民統制をめぐっては、南スーダンPKO部隊の日報問題で陸上自衛隊内に日報の電子データが残っていた事実が隠されていたことから、野党側が「自衛隊にシビリアンコントロールが効いていない」などと批判した経緯もある。
この日の討論会は、安倍首相と小池代表が初めて同席した論戦の場となった。
首相が「私たちは経済を強くした。強い経済を背景に、強い外交力を駆使し、北朝鮮の脅威に対して強固な国際関係を構築した」と、政権与党としての実績を強調。小池代表は「国の守りのためにこれまで積み重ねられてきた国の安全保障政策を基礎として、さらに安心安全の確保を追求していく。憲法改正への論議も避けては通れない」と述べた。
ネット討論会にはこのほか、公明党の山口那津男代表、共産党の志位和夫委員長、日本維新の会の松井一郎代表、立憲民主党の枝野幸男代表、社民党の吉田忠智党首、日本のこころの中野正志代表が出席した。