全国の小中高校などで2016年度に32万3808件のいじめが把握され、前年度から約10万件増えて過去最多になったことが分かった。文部科学省が26日、調査結果を発表した。特に小学校で増えており、文科省は「いじめを積極的に見つける対応が定着してきた」とみている。
特集「小さないのち」
調査は毎年実施しており、子どもの自殺などについても調べている。自殺は前年度より29人多い244人で、過去30年で最多。ただ、警察庁の統計によると昨年度に自殺した子どもは348人に上っており、学校が把握できていないケースもある。
文科省は、全国の約3万8千校が子どもへのアンケートや面談などで把握したいじめの件数を集計している。今回から「けんかやふざけ合いでも事情を調べ、いじめにあたるか判断する」と呼びかけており、子ども同士のトラブルが以前よりも幅広く「いじめ」と判断された可能性がある。いじめの90・6%にあたる29万3348件は「解消している」とされ、9・1%が「解消に向けて取り組み中」だった。
学校別では、小学校で23万7921件(前年度比8万6229件増)と最も多く、特に低学年で増えた。中学校は7万1309件(同1万1807件増)、高校は1万2874件(同210件増)、特別支援学校は1704件(同430件増)だった。
1年を通じて30日以上学校に行かなかった不登校は、小学校で3万1151人(1千人あたり4・8人)、中学校は10万3247人(同30・1人)で、いずれも1千人あたりで過去最多となった。小学校では暴力行為も増えており、前年度比33・8%増の2万2847件だった。(根岸拓朗)
■都道府県ごとのいじめ把握件数
都道府県 いじめの把握件数 1千人あたり
北海道 8355 15.5
青森 5237 38.8
岩手 5955 44.4
宮城 19288 77.9
秋田 2750 28.4
山形 6740 56.6
福島 2046 9.9
茨城 13139 39.4
栃木 4343 19.9
群馬 2980 13.6
埼玉 9258 12.2
千葉 32228 49.7
東京 19230 15.3
神奈川 14938 16.2
新潟 9935 41.6
富山 1000 8.9
石川 1267 9.9
福井 1033 11.5
山梨 3757 39.5
長野 4214 17.8
岐阜 3442 14.9
静岡 7861 19.3
愛知 16246 19.2
三重 2693 13.2
滋賀 4968 29.4
京都 26775 96.8
大阪 17922 19.0
兵庫 9820 16.3
奈良 2503 16.3
和歌山 3851 36.6
鳥取 594 9.6
島根 1643 21.8
岡山 2229 10.3
広島 2279 7.3
山口 2979 20.4
徳島 2223 28.9
香川 537 5.0
愛媛 2507 16.8
高知 1393 18.9
福岡 5050 9.1
佐賀 556 5.6
長崎 2218 14.5
熊本 2631 13.1
大分 3706 29.7
宮崎 10947 85.7
鹿児島 6060 31.2
沖縄 12482 61.1
合計 323808 23.9
国公私立の小・中・高・特別支援学校が対象。文部科学省まとめ