臓器移植法施行から20年に合わせて実施された内閣府の世論調査で、自らの臓器について、約4割が「提供したい」と前向きに考えているのに対し、実際に意思表示カードなどに可否を記入しているのは約13%にとどまることがわかった。
調査によると、脳死や心停止後に「臓器提供したい」と答えたのは19・7%、「どちらかといえば提供したい」は22・1%で、前向きな回答は計約42%に達した。
一方、臓器提供の可否を運転免許証の裏面や意思表示カードなどに記しているのは12・7%。記入していない理由については、「自分の意思が決まらない」などが25・4%、「臓器提供に抵抗感がある」が19・9%、「臓器提供に関心がない」も17%あった。
家族が書面による意思表示をしていた場合に「尊重する」としたのは約9割に上る一方、意思表示がなかった場合には「提供を承諾しない」が約5割いた。2010年の法改正で、書面での意思が不明でも家族の承諾で臓器提供できるようになっている。厚生労働省の担当者は「教育現場で臓器移植について考える機会を作るなど、啓発に力を入れていきたい」と話す。
調査は、全国の18歳以上の3千人を対象に今年8~9月に実施し、1911人から回答があった。(黒田壮吉)