男子フリーで演技をする宇野昌磨=遠藤啓生撮影
(8日、フィギュアスケート・GPファイナル男子フリー)
2018平昌五輪 トップ
フィギュア特集 Kiss and Cry
19歳の宇野昌磨にとって、新しいジャンプに挑むことは「攻めの姿勢」を貫くことだ。
今年9月にイタリアで行われた今季初戦のロンバルディア杯のフリーで、4回転サルコーを成功させた。トーループ、フリップ、ループに次ぐ、自身4種類目の4回転ジャンプ。フリーで5本の4回転を跳ぶ今の構成のままでも難しく、十分に高得点を狙えるが、あえて挑戦する道を選んだ。
「僕は新しいものを習得できた時が一番、スポーツをやっていてうれしい時。けがのこわさより、好奇心の方が上回る」。この日のフリーでしばらく封印していた新技に挑んで成功。出来栄え点(GOE)でも1・43点の加点がついた。
だが、他のジャンプでミスが続いた。冒頭の4回転ループで転び、得意の4回転トーループは2本とも失敗。自己ベストに30点以上届かず、18歳のチェンとわずか0・50点差で初優勝を逃した。
それでも、本人は満足げだ。「悔しいという気持ちより、良かったと思う気持ちの方が強い。実力がまだこの程度だったと思っているんじゃないかな」と、結果を素直に受け入れた。
期待を背負った地元・名古屋で、2年連続銅メダルから一つ順位を上げた。次の舞台は、五輪切符をかけた21日開幕の全日本選手権(東京)になる。「この大会で出来なかったことを、できるだけする。今年最後の試合で、僕にとっても一番大事な試合。自分のベストが出せたらいい」(野田枝里子)