第90回記念選抜高校野球大会の23日の開幕戦を戦う東筑(福岡)には「石田」伝説がある。過去、甲子園のマウンドに4人の石田が立った。この日先発したのは4代目の石田旭昇(あきのり)君(3年)。昨夏、開幕日に敗退した雪辱と、過去2回はつかめなかったチーム初の選抜勝利を背番号1が目指した。
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「エース石田」は過去6回の夏の甲子園出場のうち、4人登場。石田君は昨夏に伝説を継いで注目を浴びた。
「エースが石田なら甲子園」と入学時に卒業生から声をかけられて知った。重圧もあったが、「このままではレギュラーに選んでもらえない」と横手投げにフォームを変え、細身の体に体力を付けるため、食べる量を倍に増やして練習に励んできた。しかし、エースでたどり着いた昨夏は緊張から自慢の制球が狂った。「球場の雰囲気にのまれた」。10失点し、済美(愛媛)に敗れた。
「甲子園に戻ってくる」。昨秋の福岡大会と九州大会では計9試合に出場し、うち8試合で完投した。冬の間には下半身や体幹を鍛えるトレーニングでフォームを安定させた。「昨夏は先輩の大事な『3年の夏』という緊張があったが、今度は自分が引っ張ろうという気持ち」。北村謙介捕手(同)も「球の精度が上がってきた」と評価する。
東筑の選抜出場は20年ぶり3回目だが「春の石田」は初めて。石田君は「先輩方があげられなかった春1勝をあげたい」。新たな歴史に挑む。(新屋絵理)