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将棋の中学生棋士、藤井聡太四段(15)は2016年12月のデビュー戦を白星で飾り、翌年も無敗のまま勝ち続けた。6月21日、神谷広志八段(56)が持つ公式戦の連勝記録「28」に並んだ。師匠の杉本昌隆七段(49)が「ありえない数字」と表現していた金字塔だ。
【特集】名人への道 藤井聡太
記録更新がかかった6月26日の朝、東京都渋谷区の将棋会館は異様な熱気に包まれた。会館の前には取材陣、そして両対局者をひと目見ようとするファンが勢ぞろい。対局室には、多くのカメラレンズが並んだ。
対局開始を待つ藤井聡太四段(手前)に多くのカメラが向けられた=6月26日、東京都渋谷区
竜王戦の挑戦権を争う決勝トーナメントの大一番。特別対局室の上座に、増田康宏四段(20)が座った。増田はこの時19歳。フレッシュな10代対決は、先手番の藤井の初手▲2六歩で幕を開けた。対する増田は△8四歩と応じた。
藤井の陰に隠れていたが、増田も小学生の頃から有望視されてきた大器だ。14歳で三段に昇段。一時は藤井が実現した「中学生棋士」の期待もかけられた。16歳でプロ入りし、16年には若手の登竜門「新人王戦」で優勝。藤井がプロ入りするまでは、現役で最年少だった。
29連勝をかけた対局に臨む藤井聡太四段(左)と増田康宏四段(中央)=6月26日、東京都渋谷区
増田は1月、非公式戦で対戦し、藤井が勝っている。増田は「初めて年下に負けた。ショックだった」。再び顔を合わせたこの一戦は初の公式戦での対戦でもあり、絶対に負けられない。「打倒藤井」のために作戦を練りに練った。藤井を取り上げる番組を目にすると、テレビを消した。
本番。増田の研究が図に当たっ…