インタビューに応じる福岡パルコの西野光昭店長=福岡市、山下裕志撮影
ファッションビル・福岡パルコ(福岡市)の入館者数が年間約2300万人と、全国のパルコの中で首位を走っている。インターネット通販が存在感を増すなか、これまでにない入居店舗などによるネットでの話題づくりや、館内でのイベント連発が効果を生んでいる。
新館5階に昨年12月、「ザ・カンパニー」がオープンした。様々な業界の人が同じ職場で働くシェアオフィスだ。芸能事務所や人材派遣会社などが入居。フリー席などを利用するITエンジニアやデザイナーらの会員は約300人いる。
商業施設にシェアオフィスが入るのは国内でも珍しい。福岡パルコはネットを通じた「口コミ」効果を期待する。「インフルエンサー」(SNSなどで影響力が強い人たち)が魅力を広め、入館者が増える、という流れをつくるねらいだ。
福岡パルコは、早くからネット戦略に力を入れてきた。2010年の福岡での開業前には当時の新入社員の提案により、商業施設としてはいち早くツイッターの公式アカウントを開いた。本館のハンバーグ店「極味や」は韓国のブロガーを通じて広まり、韓国からの旅行者が連日、行列をつくる。
昨春にできた「泊まれる本屋」。開業から2カ月でSNSを通じ、約120万人に情報が行き渡ったという。福岡パルコの西野光昭店長は「100万人以上の人がうわさしているということ。今までは考えられなかった」と驚く。
イベントも集客の柱になっている。昨年あった猛毒生物の展示は1カ月で約4万人、お笑い芸人のロバート・秋山竜次さんを招くなどした展覧会は17日間で約2万1千人を集めた。西野氏は「人気ブランドが並んだだけではお客様が来る動機にはならない。ネットでも買えるからだ。リアル店舗に『コト消費』的な提案もしながら、来店する理由をつくりたい」と話す。
17年2月期の入館者数は、熊…