総合格闘技(MMA)の大会「RIZIN(ライジン)」が29日、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)であった。男子無差別級トーナメントでは、立ち技大会「K―1」元王者のミルコ・クロコップと大相撲元大関のバルトが勝利。UFCにも参戦経験のある中井りんは、MMAデビュー以来4連勝中のレスリング元全日本王者・村田夏南子を裸絞めで下し、愛媛県内の同じ柔道教室出身同士の同郷対決を制した。大会最終日の31日、ミルコらによる無差別級トーナメント準決勝と決勝、山本美憂やRENA、川尻達也らによるワンマッチがある。
大みそか格闘技、女子が熱い ツヨカワ女王や中井りん
■全試合の結果・詳細
〈第13試合〉
○ミルコ・クロコップ×キング・モー●
K―1・PRIDE・UFCと国内外のメジャー大会を渡り歩いた「レジェンド」ミルコが、昨年大みそかのRIZIN王者モーの一瞬のすきを見逃さず、ワンチャンスをものにした。ミルコは序盤、レスリング・ボクシング技術ともにたけたモーの勢いに押され気味。2R、ミルコがタックルを切ってコーナーに追い込むと、すかさずパンチのラッシュでTKO勝ち。往年のすごみを見せつけて次戦にコマを進めた。
〈第12試合〉
○バルト×高阪剛●
約80キロの体重差を生かした元大関バルトが、46歳のベテラン高阪を圧倒して判定勝ち。押しつぶすように高坂にのしかかるバルトは、ひざ蹴りを連打。高阪もパンチで反撃するが、バルトの怪力に阻まれ、不利な姿勢に終始した。
〈第11試合〉
○アミール・アリアックバリ×ヒース・ヒーリング●
日本での試合は10年ぶりとなるヒーリングが判定負け。「テキサスの暴れ馬」の異名で人気だったヒーリングは、序盤から攻め込まれパウンドを浴び続ける。終盤、意地のひざ蹴りでアリアックバリをひるませるものの、ブランクによる戦力差は覆せなかった。
〈第10試合〉
○ワレンティン・モルダフスキー×シモン・バヨル●
サンボ出身のモルダフスキーが、寝技主体の展開で優位に立ち判定勝ち。一方、関節技を得意とするバヨルは、アームロックで見せ場を作ったがきめきれなかった。
〈第9試合〉
○中井りん×村田夏南子●
パワーで勝る中井が、レスリング元女王の村田に貫禄を見せつけた。タックルを警戒する中井は低い姿勢を保ち、村田はガードを固め、互いに距離を探り合う展開。村田がタックルを仕掛けるものの、中井は素早く反応してテイクダウンを許さない。2Rでは、組み合いから打撃へ、打撃から寝技へと局面がめまぐるしく変化。3R開始早々、攻め疲れが見える村田を中井がコーナーに追い詰め、柔道仕込みの足払いで引き倒し、背後から首に腕を回して締め上げる。村田はたまらず、MMAのリング上で初めてのタップ。試合後、中井は宙返りを披露するおなじみのパフォーマンスで会場を沸かせた。
〈第8試合〉
○那須川天心×ニキータ・サプン●
キックボクシングの「神童」と称賛される18歳那須川が、MMAデビューをTKO勝利で飾った。テコンドー欧州王者のサプンと蹴り合うと、強烈なローキックを見舞う。下になったサプンによる腕十字固めがきまったかに見えたが、なんとかしのぐ。一転、那須川が背後に回ると、亀の状態になったサプンに左右からパウンドを浴びせ続け、レフェリーが試合を止めた。
〈第7試合〉
○宮田和幸×アンディ・サワー●
レスリング・シドニー五輪代表の宮田が、K―1中量級の元王者サワーに腕十字固めで貫禄勝ち。MMA経験の浅いサワーは早々にテイクダウンを奪われ、終始有利なポジションを宮田に許した。
〈第6試合〉
○元谷友貴×アラン・ナシメント●
RIZIN3度目の登場となる元谷が、ブラジルの新進気鋭ナシメントを退けた。ヴァンダレイ・シウバを育てた“MMAエリート養成機関”シュートボクセアカデミー所属のナシメントは序盤、長身を生かした打撃で優位に。徐々に元谷がペースをつかみ始め、失速気味のナシメントを捕捉。パンチで追い込み仕留めにかかったが、ナシメントもなんとかしのぎ、2―1の判定で競り勝った。
〈第5試合〉
○和田竜光×カイ・カラフランス●
柔道金メダリストの吉田秀彦率いる吉田道場所属の和田が、寝技でカラフランスのスタミナを削って判定勝ち。カラフランスがパンチ、和田がローキックで攻め、一進一退の立ち上がり。疲れの見えたカラフランスを3R、和田がグラウンドの展開に引きずり込むと、反撃の余地を与えなかった。
〈第4試合〉
○矢地祐介×マリオ・シスムンド●
矢地が空手仕込みの猛攻で、マニー・パッキャオのそっくりさんとして母国フィリピンで人気という、シスムンドをKO葬。試合早々、飛びひざ蹴りで一気に詰め寄ると、パンチとキックの連打を浴びせ、ひざ蹴りで仕留めた。師匠の山本“KID”徳郁をほうふつとさせる、野性味あふれる矢地の打撃が光った。
〈第3試合〉
○アリーシャ・ガルシア×浅倉カンナ●
レスリングのバックボーンを持つ同士の対決。MMA経験にまさるガルシアが、現役高校生・浅倉のプレッシャーをかわし、判定で勝利した。ガルシアは組み合いから、膝蹴りを効果的にひざ蹴りを入れて主導権を握る。浅倉は、打撃をかいくぐりテイクダウンを奪ってパウンドを放つなど見せ場もあったが、ガルシアに逃れられた。
〈第2試合〉
○ワジム・ネムコフ×アリソン・ヴィセンテ●
ネムコフが開始早々、勢いよく飛び出したブラジル出身のヴィセンテをかわしテイクダウンを奪う。マウント状態から師匠のエメリヤーエンコ・ヒョードル譲りのパウンドを浴びせ、1R55秒KO勝ち。
〈第1試合〉
○北岡悟×ダロン・クルックシャンク●
寝技に定評がある北岡は序盤、手足の長いリーチを生かしたクルックシャンクの打撃におされ、鼻から出血して守勢に。スタンドの攻防が続いたが、1R終盤、ロープ際でクルックシャンクにタックルして引き倒し、クルックシャンクの頭を抱え込んでフロントチョーク。1R8分19秒にTKO勝利を収めた。